情報発信・連携促進

2023年度 農業遺産・世界かんがい施設遺産の情報発信

(令和5年度農山漁村振興交付金事業・イベント及びPR動画の作成、SNS等を活用した広報及び研修会の実施)

農水省では「美しく活力のある農山漁村」の実現に資する農業遺産や世界かんがい施設遺産の認知度向上、理解醸成、関心層の拡大に取り組む事業を推進しています。
今般、JESはこれまでのエコツーリズムを普及する過程で培ってきた全国的なシンポジウムの開催や、観光に関するイベント出展、広報活動における知見やネットワークを活かし、JTB霞が関事業部をはじめ多様な団体と連携し「令和5年度農山漁村振興交付金事業(イベント及びPR動画の作成、SNS等を活用した広報及び研修会の実施)」を行いました。
事業ではツーリズムEXPOジャパンにて農業遺産ブースを出展し、農水省関係者、農業遺産認定地域の出展者らと共に、農業遺産及び認定地域のPRを行うとともに、農業遺産の認知度を把握するためのアンケート調査を実施しました。業界日には観光事業者向けに教育旅行やインバウンド等、ニーズに即した商品化に資する情報を提供し、農業遺産をテーマにした観光商品の造成を促しました。そこで得られた反応や商品造成に向けての課題等については、農水省の農業遺産担当班と共有しました。
また、10月に福井県で開催された世界かんがい施設遺産地域活性化協議会の総会にて、同協議会関係者ら約90名に対し、同遺産の活用を通じた地域活性化につながる情報発信の手法や体制構築への理解等を促す講演を行い、情報発信の手引きを配布しました。同手引きの活用において「写真の撮り方、SNSでの発信の仕方、リスクマネジメントの心得等の項目が特に参考になった」、「情報発信担当者として知っておくべき事項を確認する機会につながった」という声がでていました。
2月には農業遺産認定地域関係者ら約40名を対象に、農業遺産の認知向上及び関心層拡大に向けた情報発信を学ぶ講演とツーリズムEXPOジャパンの出展報告をあわせたオンライン研修会を行いました。参加者からは、今後の課題として認定地域同士のネットワークを醸成する場づくりを求める声が挙げられました。
本事業を通して、認定後の認知度の向上はエコツーリズム推進全体構想認定地域、農業遺産認定及び世界かんがい施設遺産登録地域など、資源やフィールドが異なっていても、地域が抱える課題は共通していることがわかりました。これらの資源を地域の「資産」として捉え価値を高めていく情報発信の体制や仕組みづくりの必要性を改めて実感しました。

農業遺産PR動画

2019年度~ JALダイナミックパッケージ「自然・文化に彩られた魅力ある土地を旅する」との連携

JESは2019年に日本航空株式会社及び株式会社ジャルパックと連携し、エコツアーなど地域の体験プログラムを組み込んだ旅行商品・JALダイナミックパッケージ「自然・文化に彩られた魅力ある土地を旅する:奄美大島への旅」の企画に協力して以来、ツアー料金に含まれる寄付金(500円相当)をエコツーリズムに取り組んでいる地域の保全活動などに寄付してきました。
本シリーズは2023年3月末時点で奄美大島、北海道(知床・阿寒・川湯)、東北(白神山地・奥入瀬)、沖縄(やんばる・西表島)の4本となり、これまでに奄美群島の自然環境の保全活動(奄美群島広域事務組合)、知床の地元の小学生にクマの生態を教える活動(知床財団)、ヤンバルクイナの保護活動(NPO法人やんばる・地域活性サポートセンター)などへ寄付を行ってきました。今後もツアー販売を継続し、全国でエコツーリズムに取り組む地域のガイド育成に資する活動などに寄付金を活用していく予定です。

JALダイナミックパッケージ

2022年度 環境省・国立公園満喫プロジェクト国立公園オフィシャルパートナーシッププログラム運営支援

環境省では国立公園の美しい景観や魅力を、企業と相互に協力し民間の知見やチャネルを通じて世界に向けて発信するために、平成28年に国立公園オフィシャルパートナーシッププログラム(以下OP)を立ち上げました。オフィシャルパートナーとして締結した企業は2022年末時点で計130社となり、2023年度もさらなる広がりが見込まれています。
JESでは東武トップツアーズ株式会社(JES法人会員)と共同でOPの事務局業務を受託し、当会では各国立公園事務所や企業へのヒヤリング、意見交換会の企画運営、専門家派遣によるファシリテーション等に携わりました。
第1回の意見交換会では4つのテーマを設定の上、それぞれに専門家によるファシリテーションを行いました。第2回は新宿御苑インフォメーションセンターとオンラインのハイブリッドで開催しピッチイベントと交流会を行い大変盛況でした。第3回は今後環境省で予定する具体的な取組を中心に意見交換とワークショップを行いました。
また、JESもオフィシャルパートナーであり、その取組として、ベルトラ株式会社(JES法人会員)の八丈島(富士箱根伊豆国立公園)における「国立公園ならでは」のツアー企画への支援を行いました。今後も様々な地域と企業をつなぐ役割を担い、同様な取組を進めていく予定です。

ベルトラ株式会社の八丈島のエコツアー

2019~2021年度 東京観光財団受託事業・世界自然遺産を活用した観光振興に係る商談会・シンポジウム・現地交流会

 JESは株式会社JTB東京中央支店と連携し、東京観光財団の受託事業として日本の世界自然遺産地域への誘客に向けた商談会、シンポジウム、現地交流会の開催に協力しました。
 今年で3回目となった本事業は、日本の世界自然遺産登録地域の自治体、ガイド事業者、観光協会、旅行会社等が一同に集まり開催してきましたが、今年はコロナ禍の影響で全てオンラインでの開催となり、JESは世界自然遺産登録地域間の交流を促すオンライン座談会を担当しました。

白神山地オンライン交流会、オンライン商談会、シンポジウム
 白神山地オンライン交流会には旅行会社等25社が参加しました。交流会では、現地のガイドが事前に準備した映像を活用したオンラインツアーの実施と「白神山地歴史・文化」「白神山地専門ガイド」「エコツーリズム」「トレッキング拠点・宿泊」「あきたDMO・インバウンド」の5つのテーマにわけた情報交換会を行いました。今般の交流会はオンラインの開催でしたが、映像を多く盛り込んだり、テーマごとに分けて現地の事業者と交流できた点が良かったという声が参加者からでていました。
 オンライン商談会(11月、1月)に参加した旅行会社は計43社で、商談件数は60件でした。商談会の参加者からは、コロナ禍において現地の実情やアクティビティなどの新たな情報が入手でき今後のツアー造成の参考となったという声や今後SDGs的な要素をからめた現地の体験プログラムの提供への関心が出ていました。シンポジウムの視聴参加者数は169名で、株式会社スノーピーク地方創生コンサルティング専務取締役の西野将氏の基調講演や世界自然遺産4地域の代表者のプレゼンテーションや西野氏を交えたトークセッションをオンライン形式で開催しました。

オンライン座談会
 世界自然遺産登録地域の自治体と観光事業者・観光協会等が参加したオンライン座談会では、JTIC.SWISS代表の山田桂一郎氏(JES運営役員)をファシリテーターに招き、「選ばれる地域とは~地域マネジメント:マーケティング&ブランディング」について講演を行いました。その後、参加者は「北海道・白神山地」と「屋久島・小笠原諸島」の2つのグループに分かれ、観光客数の量から質への転換、世界自然遺産地域としてのSDGsへの貢献などのテーマについて話し合い、それぞれのグループの代表者が発表を行いました。参加者からは、お互いの地域を知り合うことで広域連携の成功につながるのではないかという声がでていました。
 今年度は全てオンラインでの開催になりましたが、本事業の参加を通じてツアー造成につながった旅行商品をJES会報誌92号で紹介しているので、ぜひご覧ください。

座談会