全国エコツーリズム大会 in京都・美山

人と自然をつなげる伝統の知恵

開催概要

【開催期間】2015年10月15日(木)~17日(土)
【場 所】 京都府南丹市美山町
【主会場】 美山文化ホール
【内 容】 1日目シンポジウム・交流会、2日目エコツアー、3日目評価会
【主 催】 南丹市美山エコツーリズム推進協議会
【共 催】 NPO法人日本エコツーリズム協会
【公式サイト】http://www.miyamaeco.com/report/ecotourism151015.html
【パンフレット】表面裏面

開催報告

初めてエコツーリズム推進全体構想認定団体が集結

2015年10月15~17日にわたり、「全国エコツーリズム大会in京都・美山」が、美山エコツーリズム推進協議会と、JESによる共催で、京都府南丹市美山町で開催されました。大会では初めてエコツーリズム推進法に基づくエコツーリズム推進全体構想認定団体5地域が集まり取組の報告会が開かれ、エコツーリズム実践者らによる交流が行われました。
美山町には、茅葺屋根の家が40軒ほど残る集落があり、平成5年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたのを機に日本の原風景を見ようと、年間で約70万人が訪れるようになりました。しかし、訪れる観光客の消費単価はおよそ900円で、宿泊が伴っておらず、更に同町の人口は毎年100人ずつ減少しているという現実を抱えています。
これらの課題について、豊かな自然や、自然と共にある里山の暮らしをベースに、交流人口の拡大から定住へ結び付けていくための対応策の一つとして平成22年より、エコツーリズムが推進されてきました。
大会初日には、講演と全体構想認定団体の取組報告が行われ、約300人が集まりました。基調講演では、東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)を経営するオリエンタルランドの福島祥郎特別顧問から「日本の自然環境が育んできた、人々の和の心と、エコツーリズムは親和性が高く、感動体験を共感することで、価値観や美意識の共有化が進み、新しいものが生まれる」と話しました。

JTB会長で日本エコツーリズム協会の田川博己副会長は、これからの訪日観光客2000万人時代を迎えるにあたり、大都市に集中している訪日観光需要を地域に分散することによって、地域の観光消費の増加と、雇用創出への期待について語りました。そのためには、地元の人が主体となって地域の魅力を磨きあげることが重要であり、商品化や販売戦略を得意とする旅行会社との役割分担についても触れられました。美山町へは台湾からの観光客が増えており、外国人も含めた受入体制づくりへの課題が浮き彫りとなりました。

初日交流会では、美山町の女性たちによる手づくりの郷土料理がふるまわれました。

エコツアーで、美山の自然、里山の暮らし、恵みを体験

2日目は、かやぶき体験、鹿狩りと解体体験、ネイチャートレッキング、わら細工や草木染め体験、ラフティング、かやぶきの里散策の6コースのエコツアーに約100人が参加しました。原生の森や、里山の暮らし、恵みを体験する幅広いエコツアーが用意され、美山での体験の多様さをアピールしました。
中でも一番人気は鹿狩りと解体体験ツアーで、美山で20年以上にわたり、アウトドアや山村体験を行っている「田歌舎(たうたしゃ)」を中心に地元猟師の協力を得て、定員の20名で行われました。

鹿肉は昔から貴重な動物性たんぱく源でしたが、近年、鹿狩りは有害鳥獣駆除の目的として行われています。 
鹿の解体を体験し、昼には鹿肉の生ハムや、ロースト、レバーペースト等の数々を味わい、午後、地元猟師と共に山野に入り、猟犬と行う巻狩りを間近で見学しました。(※参加者は猟師のする狩りを見学するだけ)。
鹿狩りは4グループに分かれ、運よく鹿を仕留めることが出来た1グループ。残り3グループでは鹿を追い詰めたものの逃げられてしまいました。
猟は、猟犬に取り付けた発信機をもとにGPSで猟犬の位置を確認しながら行われ「姿は見えないが、猟犬たちの気配を感じながら、犬たちの緊張感を共有できたことが非常に面白かった」と参加者から好評でした。また、ツアーを通して、森の命をいただくことの意味を五感で理解することができたという感想も得られました。

大会3日目にはエコツアー全6コースの評価会が行われ、ツアー主催者へ、日本エコツーリズム協会の理事らから、改善点などの提案が出され、活発な議論が展開されました。

大会の成果

今大会では初めて一般の人を対象にかやぶき体験を行ったという、かやぶき職人の株式会社ニシオ・サプライズでは、職人としての仕事を行いながら、一般客を対象とした体験の提供や宿泊、旅行業等を柱としていきたいと語られました。また、これまで美山でのエコツーリズム推進の取組にあまり関わりがなかった事業者が大会に参画したことで、オール美山でのエコツーリズム推進の取組に又一歩ちかづきました。