第2回 全国エコツーリズム学生シンポジウム

2011年1月29日(土)、第2回目となる「全国エコツーリズム学生シンポジウム」が東京大学に於いて開催されました。
今回は研究発表者9団体、ポスターセッション17団体による、学生主体のシンポジウム。
当日は、シンポジウム(185名)を含め、交流会(93名)、のべ278名の参加がありました。

開催概要
【日 時】2011年1月29日(土)10:00?18:40 (交流会19:00?20:30)
【会 場】東京大学 本郷キャンパス(東京都文京区本郷7-3-1)
使用会場: 農学部1号館2階8番教室および弥生講堂アネックス
【参加費】無料
【主催】第2回全国エコツーリズム学生シンポジウム実行委員会
【事務局】NPO法人日本エコツーリズム協会
【後援】環境省、観光庁、農林水産省
【協賛】株式会社日本航空

開催当日の様子

プログラム
10:00-11:00 開場・受付(農学部1号館2階8番教室)
10:00-18:00 学生によるポスターセッション(弥生講堂アネックス)
11:00-12:00(農学部1号館2階8番教室) 
・日本エコツーリズム協会 愛知和男会長、盛山正仁顧問 挨拶
・基調講演「観光立国の柱・エコツーリズム」
田川博己(日本エコツーリズム協会副会長・株式会社ジェイティービー代表取締役社長) 
13:10 学生による研究発表・ワークショップ・講評

【環境】
13:15-13:30 
「シーニックバイウェイ北海道 シーニックの森の取り組み」
向 未悠(札幌国際大学3年)
13:30-13:45 
「エコツーリズムにおけるガイドと研究者の関係 ?東京都小笠原村父島を事例に?」
山菅 香 (首都大学東京大学院修士過程2年)
13:45-14:00 
「我が国のエコツーリズムにおけるガイドの環境保全活動についての考察」
武 正憲 (東京大学大学院博士課程3年)
14:00-14:45 ワークショップ・講評

【地域】
15:00-15:15 
「金谷天満宮例祭と地域振興 祭りの変遷と地域住民の意識についての一考察」
金子 沙織(京都光華女子大学4年)
15:15-15:30 
「宮城県石巻市田代島における猫観光の地域的背景 ―人間と猫の関わりに着目して―」
白柳 かさね(首都大学東京大学院修士課程2年)
15:30-15:45 
「市民参加手法による再フレーミングのための参加型プラットフォーム構築 ―「宝探し」と「市民討議会」を事例に― 」
沢田 宣夫(文教大学大学院修士課程2年)
15:45-16:30 ワークショップ・講評

【観光】
16:45-17:00 
「日本のホエールウォッチング産業の将来性を探る」
名生 華子(東京コミュニケーションアート専門学校)
17:00-17:15 
「五感の視点からみた自然観光体験 裏磐梯レンゲ沼・中瀬沼探勝路での「感覚マップ」調査をもとに」
長塚 涼太(立教大学2年)
17:15-17:30 
「地域と環境に貢献するバイオマスツアーの意義と課題 ?岡山県真庭市を事例に?」
中村 真人(桜美林大学3年)
17:30-18:15 ワークショップ・講評

【まとめ】
18:15-18:30 全体講評
18:30-18:35 学生からの提言

【交流会】
19:00-+20:30 交流会(弥生講堂アネックス)

弥生講堂アネックスで10:00から開催されたポスターセッション。全17団体のポスターが掲示され、受付け終了後、講演開始までの間にたくさんの方にお立ち寄りいただきました。それぞれのポスターの前では、発表者の学生が来場者に対して説明を行なう場面が多くみられました。来場者は学生が多数でしたが、環境や観光業界に従事する方、地域でエコツーリズムに取り組んでいる方なども多く参加されました。ポスターセッションの会場である弥生講堂アネックスには、「訪れた方と一緒にエコツーリズムについて考えたい」という学生委員達による情報ブースも設置されていました。エコツーリズムの参考図書リストや年表、エコツアー体験記の他、参加者の方の「おすすめエコツアー」を紹介してもらうコーナーも。地図に貼られた付箋には、「参加した場所」「おすすめポイント」が書かれています。

11:00からは、農学部1号館2階8番教室にて日本エコツーリズム協会の愛知和男会長、盛山正仁顧問の挨拶につづき、田川博己副会長(ジェイティービー社長)による基調講演が行なわれました。お昼の休憩をはさみ、午後から学生による研究発表が行なわれました。「環境」「地域」「観光」の各テーマそれぞれ3団体、計9団体による発表です。
持ち時間はひとり15分。質疑応答の時間は別途設けられています。資料を整え、中には映像を流し説明を行なう学生もいました。学生によっては発表資料を受付資料に同封していたため、聴講している参加者も手元の資料に書き込みを行なっていました。特に、発表後にワークショップを行なうため、聴講している学生さんもしっかり発表に耳を傾けていたようです。

今回は学生主体のワークショップを開催するため、学生と一般では座っていただく席を分けての開催になっていました。受付時に会場の席の割り振りについてご案内し、1階には学生、2階には一般の方に座っていただきました。その2階席もほぼ満員。みなさん発表に熱い視線を注いでいました。

各テーマの発表(3団体)が終わると、20分の時間をとりワークショップを行ないました。

黄色いカコミが1グループ(8名)、全16グループにわけワークショップを行ないました。
各グループに学生委員がファシリテータとなって入り、ディスカッションテーマにそって話し合いを行ないました。
そして各グループのまとめをファシリテータが紙に書き出しまとめました。
その後、2.3のグループから発表をし、その後質疑応答を行ないました。
(ファシリテータがまとめた紙は、交流会会場に張り出されました。)

各テーマごとのディスカッションテーマは以下の通りです。
【環境】 エコツーリズムにおける各主体の環境保全への役割と実践のための仕組みとは?
【地域】 地域資源(宝)の観光利用における良い点・悪い点と、その対応策とは?
【観光】 エコツアー参加者の裾野を広めるためには?

各グループのファシリテータが意見をまとめている様子。この紙は3つのテーマ全てにおいて作成されました。

研究発表後、東京大学大学院の下村彰男教授(日本エコツーリズム協会理事)より全体講評があり、今回運営を行なった学生委員、そして 坂田道志(まさゆき)学生実行委員長(東京工業大学大学院)から、『学生からの提言』として3つのキーワードが提示されました。

■提言1. つながること
■提言2. 継続すること
■提言3. 書を持って旅に出よう!

学生委員からは、「シンポジウムを行なうことが目的ではなく、これはあくまできっかけのひとつに過ぎない」という声もあり、エコツーリズムをキーワードにして集った学生達が「つながること、継続すること、そして書を持って旅に出ること」という言葉が掲げられました。

朝から続いたシンポジウム。最後は発表者、学生委員、当日運営を手伝ってくれた学生達、講評を行なった大学関係者、事務局、それに参加者の方々が集った交流会を行ないました。
発表者にあらためて質問をする方、エコツーリズムに関わる仕事をしたいと考えていると相談する学生、著作を読んでぜひ話をしたかったと研究者に質問をする学生・・・多彩な話題が飛び交う歓談の場となっていました

あらためて、エコツーリズムをキーワードに集まった数多くの皆様にお礼申し上げます。
最後に、日本エコツーリズム協会学生部会では、あらたなメンバーを募集しています。エコツーリズムに興味のある学生、旅好きな学生、他大学の学生と交流したい学生、ぜひ日本エコツーリズム協会事務局までご連絡ください。お待ちしていま。

■ポスターセッション(全17団体) 弥生講堂アネックスにて開催
【環境】
・日本の大手旅行業においての環境経営への取り組み 
(高田有 富山県立大学短期大学部専攻1年)
・国立公園における観光者の環境保全コスト負担への協力意志の有無とその条件に関する研究 ―小笠原国立公園を題材にして―
(野澤優介 文教大学4年)

【地域】
・住民参加によるインカ道の保全活用に関する参加型農村調査(PRA) ─ペルー国アンカシュ県コンチュコス地域の事例研究─
(大谷博則 奈良大学大学院博士後期過程3年)
・和歌山県における子ども農山漁村交流プロジェクトの取り組み 
(谷脇幹雄 和歌山大学大学院2年)
・都市における農業体験農園の利用形態とその役割―東京都練馬区を事例として―
(飯塚遼 首都大学東京大学院博士前期課程1年)
・日本の農業は観光で生まれ変わる!
(後藤卓 首都大学東京大学院修士課程1年)
・持続可能なまちづくりをめざして 
(工藤裕 札幌国際大学3年)
・「天地人」で町おこし?新潟県の観光への影響? 
(中野尋香 京都光華女子大学4年)
・地域振興における歴史と文化財の活用とその可能性?大山街道を事例に?
(根本 雅史、富永マリア、荒井一成、美山佑介、木村莉奈、國宗未散 文教大学3年)
・茅ヶ崎北部の活性を目指して ?住民の意識改善のプロセスを中心に?
(小笠原麻結、加藤勇人、相馬祥子、田村真紀、中村友香、羽田英峻、皆川貴広、矢口翠 文教大学3年)
・38度線を越えて?マダンがつなぐもの?
(康あんな 大阪芸術大学4年)
・旅のとば口
(小川佑真 大阪芸術大学4回生)

【観光】
・神津島における島民主体のエコツーリズムのあり方 
(古川裕介 松蔭大学2年)
・新しい持続可能な観光ジオツーリズムに関する実践を通じた考察?糸魚川ジオパークを事例に
(馬場龍一 早稲田大学大学院修士課程)
・小布施町の観光振興
(生田麻紀、遠藤美穂、黒澤梓、沢畠彩花、田中絵美、松野春菜、宗像由顕 文教大学3年)
・新潟県上越市における地域活性化への成功方法
(相葉マナ 文教大学4年)
・観光教育が人に与える影響―パーソナリティとストレスとの関わり―
(中村しほり 文教大学4年)