WTTCグローバルサミットにおける“明日へのツーリズム賞”に協力
2012年世界旅行ツーリズム協議会「明日へのツーリズム賞」の受賞者発表
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)主催「明日へのツーリズム賞」の本年の受賞者として、4大陸の企業3団体とデスティネーション1ヵ所とが、持続可能なツーリズムにおける最善の事業活動を認められ、決定致しました。
同受賞4者は最終受賞候補に残った12件の中から選ばれたもので、2012年4月17日、日本・東京にて開催のWTTCグローバルサミットの開会式典の席上に於いて正式発表されました。
WTTCグローバルサミットでは、野田首相も開会式に出席され、挨拶をされました。内容は首相官邸サイトでご覧いただけます。
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/actions/201204/17wttc_summit.html
WTTC主催「明日へのツーリズム賞」は世界の旅行ツーリズム業界に於ける最高の栄誉に属するもので、世界中の企業、団体組織、及びデスティネーションの中から、持続可能なツーリズム活動の模範となる顕著な実績のあった者を表彰する制度であり、国際的な専門家から成る審査員チームが最終候補者全員に対して現地審査による検証評価を徹底的に実施すると云う、持続可能なツーリズムに対する世界唯一の賞であります。
2012年の「明日へのツーリズム賞」の受賞者は、南米、北米、欧州、そしてアジアに散らばると云う、一地域に偏らない多様な結果となり、その何れも60ヶ国を超える国々から申請のあった150件もの応募者の中から勝ち残った勝者となりました。
授賞式では、自然環境保護部門の大賞受賞者に対し、日本エコツーリズム協会の愛知会長から賞状が渡されました。
各部門の受賞者は以下の通り。:
地域貢献部門=ソーンダース・ホテルグループ(アメリカ):
一地方の一族の所有になるこのホテルグループは、遡ること1980年代の初期、マサチューセッツ州はボストンの古い警察署の建物を歴史的ホテルに改造し、同地域内の共同経営者と提携の上、同地元社会に低価格の住宅物件を建てた頃から、持続可能なツーリズムを推進するリーダーの地位にあり続けています。
自社の従業員が立場に関係なく全員が賛同し推し進める経営方針に沿って、グループは何十件もの地域内の慈善活動や非営利活動を支援するのみならず、必ず付随して一般企業の社会的責任の範囲を大きく超える財政援助、自発的奉仕、現物援助を惜しみなく提供しています。
ソーンダースにとっては、地域奉仕の対象は先ず「足許・地元」でなければならず、そこで困っている人々を助けることは自社の使命の一部である、不遇な地域社会はアメリカ合衆国のどの大都市にも存在し得るのだから、との認識を共有しているのです。
自然環境保護部門=インカテラ(ペルー):
本ホテルはアマゾン低地の38,000エーカーに及ぶ熱帯雨林、及びマチュピチュ歴史保護区内の25エーカーの雲霧林の長期に亘る保存管理の実績を誇っています。1975年の開設以来、インカテラは名だたる生物学的多様性の調査と保護を巡るツーリズムを扱う会社として成長を遂げ、マチュピチュ保護区及びアマゾン熱帯雨林のマードレ・デ・ディオス地区に5軒のホテルを経営しています。
滞在客一人一人に100%二酸化炭素を排出しないホテル滞在を提供することと併せて、同ホテルは自活方式による持続可能なツーリズム・プロジェクトの主催を続けていますが、その意図は、世界で知られている104ケ所の生態系区域の中の84ケ所の故郷となっているペルー国内のアンデスとアマゾンの区域、その脆弱な環境を保護する必要を旅行者にも地元住民にもより良く理解して貰うことにあるのです。
デスティネーション管理部門=レーロース(ノルウエー):
複数の投資家を募ることで、古い鉱山町レーロースを人々で賑わう持続的な観光地に、そして今やユネスコの世界遺産に変えることに成功したこの事例は多くの関係者が見習うべき手本であります。1970年代後半の閉山以来、レーロースの町は、地域社会、自治体当局、民間部門投資家を積極的に巻き込みかつ相互間の協力関係を構築させる経営計画に沿って地域の環境悪化を逆転させるための実験台となって来ました。その際力点が置かれたのは、歴史的文化遺産及び以前の劣化した自然区域とも再活性化させることが出来ること、そしてそれを持続的な発展を通して新しい文脈の中で利用し、そうすることで地元住民に目に見える具体的な経済的恩恵をもたらすことが可能であることを実証することでした。レーロースはまたノルウエーの全国的な持続的ツーリズム構想の実験プロジェクトともなっています。
グローバル観光ビジネス部門=バニヤンツリーホテル&リゾート(本社シンガポール):
この会社は、長期間に亘って持続可能性と、メキシコから中国に至る世界中の観光地の多様な自然及び文化的遺産の保護に対する支援を重要視するツーリズムの価値認識を投資家の間に創り出す取り組みに余念がありません。バニヤンツリーの経営戦略は3本の柱より成っており、それは環境活動の効率向上、自然遺産及び生物学的多様性の保護、並びに営業活動を行う国・地域の住民への社会経済的な権限移譲となっています。強い持続力を持つツーリズム営業活動に加え、バニヤンツリーは持続力の監視と評価のシステムを自社全体に亘り、年次報告書類も含めて完全に一本化しており、さらにはそれとは別に単独の持続能力査定書を作成してあらゆる事業内容、成功例、及び新しい挑戦事項を記録しています。この活動は10年以上に亘って首尾よく継続されており、またその間、2006年には自社傘下の全ホテルに対し、世界で最初にフカヒレの販売を禁止したグローバルな接客業企業の一つとなっています。
デイビット・スコースィルWTTCプレジデント兼CEO曰く、「本賞は過去9年間に亘ってWTTCが管理して来ました。以来、本賞は価値も対象範囲も拡大して来ましたが、基本となる前提条件は変ってはいません。即ち、持続可能な事業活動の優れた業績に対し、この地球上に存する旅行ツーリズム業界の側から国際的な認定を授けると云うことです。」
同氏は続けて曰く「最終選考者及び受賞者の全員が刺激的なビジネス事例として現実世界の諸問題に持続的な解決策を示唆しています。これ等の活動は【明日へのツーリズム】の理念を共有するものであり、この産業に於ける真のリーダーシップを立証するものであります。」
受賞者達の業績に関してWTTC「明日へのツーリズム賞」審査委員長コスタス・クリスト氏が注釈して曰く、「持続可能なツーリズムと云う原則はもはや単なる一握りの篤志家的企業の専有物ではなくなっています。今日、持続可能性それ自体が世界の舞台にツーリズムの質を決める新たな指標として浮上して来ており、優良な接客サービスとか眺めの好い部屋だとかの昔ながらのサービスの良し悪しの基準と今や肩を並べるまでになっています。このことが意味するのは、主催企業あるいはデスティネーションの良し悪しを測る物差しは、益々業者の側の持続可能なツーリズムの運営能力如何と結び付くようになっています。これは決して過渡的な傾向ではなく、寧ろツーリズム産業の肯定的すべき必要な進化として捉えるべきです。本年の「明日へのツーリズム賞」受賞者は、ツーリズムが企画・運営共に優れている場合、この惑星を保護し関係する地域の人々に目に見える恩恵をもたらすための、如何に巨大なチャンスを創り出すかを立証しています。」
「明日へのツーリズム賞」受賞者は4段階に亘る厳格な審査手順に耐えて選出されました。審査を担当したのは世界各地の独立した20名以上の審査員諸氏。その審査委員長は持続的なツーリズムの世界的権威として知られているコスタス・クリスト氏であります。
また「明日へのツーリズム賞」はトラベルポート、及びトラベル・コーポレーションズ・コンサベイション・ファウンデーションとの提携の下に実施されます。
●明日へのツーリズム賞:
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の管理の下に今年で9年目を迎える本賞は、世界の旅行ツーリズム産業に於ける持続可能なツーリズムの最良の業績を表彰する制度。
自然及び文化的資源に対する関心の高まりを背景に、この各部門の賞はWTTCにとって特に重要なものとして、協議会に対し、持続可能性に於ける業界リーダーを育成しかつ提携する機会を与えるものとなっています。
●世界旅行ツーリズム協議会:
世界旅行ツーリズム協議会は、旅行・ツーリズム産業の経済的・社会的発展をめざす世界組織です。旅行・ツーリズム産業の持続可能な成長を進め、各国政府や国際機関と雇用創出、輸出促進、経済的発展を目指して協働しています。
2011年、旅行・ツーリズム産業は世界で2億5500万人の雇用を創出しています。およそ6.3兆ドル(世界のGDPの9.1%)の経済規模を有し、投資や経済成長の大きな原動力となる業種です。20年以上にわたり、WTTCは全世界のこの産業の声を代弁してきました。メンバーには、世界の民間旅行・ツーリズム企業の会長、社長、CEOらが含まれ、政府レベルの施策や政策決定に対し専門的な見地からの助言を与え、経済成長の鍵を握る同産業の重要性に対する理解を深めるよう、絶えず働きかけを行っています。
■2012年5月22日■
世界旅行ツーリズム協議会のディビッド・スコウシル代表から、日本エコツーリズム協会の愛知和男会長にお礼状が届きました。